短時間勤務制の導入、復職支援の整備で育児中の女性を応援
福井県外で働いていたある女性産科医が、出産後、両親の希望もあって同県に戻ったのは2009年4月のこと。その際、かつての職場である福井県済生会病院への復職を希望しました。
ただ、子供も2人の出産・育児でブランクが会ったため、復帰後すぐに通常の診療に携わることに不安を抱いていました。
そこで活用したのが同病院の「復職研修システム」です。最初の3ヶ月間は週3~4日のみ、9~16時まで勤務すると同時に、婦人科健診などの負担の少ない勤務に従事しました。しばらく後、外来診療に携わったり、手術の助手を務めるようになり、徐々に診療の感覚を取り戻していきました。
済生会病院は、2008年11月に彼女を常勤医として雇用することを決め、同病院の医師として始めて週32時間の短時間勤務を認めました。女性は現在、当直は免除されていますが、外来、病棟、健診を中心に産婦人科で勤務を続けています。
同病院では職員のモチベーションを高めることが医療の質を上げ、ひいては患者満足度の向上に繋がると考え、働きがいを持てる職場作りに取り組んできました。女性医師支援もその一環です。
全医師に占める女性比率が高まる中、女性医師対策に取り組まなければ人材が集まらなくなります。やる気のある女性医師を増やせば、ほかの医師の負担軽減になるだけでなく、より多くの患者を受け入れられ、経営面でもプラスになります。
院長のこうした考えの下、子供を持つ女性医師や看護師が仕事を継続できるように、産休・育休の取得を促進するだけでなく、早くから24時間保育所を運営してきました。
また子育て中の従業員を主な対象とした正規職員の短時間勤務制を導入したほか、厚生労働省の復職支援事業の補助を受けて復職研修も開始。先述の女性産科医も、この制度を利用しました。
病院全体としての制度以外に、個人の事情に応じて現場で柔軟に勤務形態を変えているのも同病院の特徴です。女性医師が多い産婦人科では、在籍医師7人のうち3人が女性で、2人が子育て中、そのうち1人は現在、育児休暇中ですが、週1回だけ外来を受け持っています。
同病院では今後、女性医師対策にとどまらず、男性も含めたスタッフのワークライフバランスの充実を図っていく考えです。具体例の一つとして、2006年にはリフレッシュ休暇制度を導入し、1週間単位の休暇取得を義務化しました。
国際学会に参加するためにリフレッシュ休暇を取得するケースも増えてきており、今後、ワークライフバランスを重視する若い医師が増えてくると、こうした制度の利用もさらに促進されるのではと考えられます。