女医のニーズを把握して、キャリアパスを提示します
8年前から女性医師への支援に力を入れてきた福岡大学病院。きっかけとなったのは、過酷な労働環境と訴訟リスクの高まりなどから激減した外科医志望者。また、医学生の男性比率が下がり、女性が急増したことも追い討ちとなりました。
さらに懸念材料となったのは、2004から施行が見込まれていた新臨床研修制度でした。総合的な診療能力の習得を目的とした同制度が始まれば、専門性の高い大学で研修を希望する研修医は減り、福岡大消化器外科の入局者も減少すると予測したのです。実際、同制度が度施行されると、同科への入局希望者は激減しました。
この状況を解決するために注目したのが、女性の専門医が極端に少ない大腸肛門科でした。例えば出産の際、腹部への圧力が強まることから痔になる人が少なくありません。こうした女性患者は男性医師よりも女性医師による治療を好みます。しかし、女性の大腸肛門病専門医は全国に10人もいないのが現状だったのです。
そこで、女性の大腸肛門病専門医の必要性を訴えると同時に、資格を取りやすい仕組みを整えれば、女性医師の入局者も増えるはずだと消化器外科診療部長の山下氏は考えました。もちろん消化器外科全般の技術を身に付けられるようにしました。大腸肛門病専門医は将来を見据えた財産と言う位置付けです。
山下氏がまず取り組んだのは、大腸肛門疾患の患者を多く治療している福西会病院と大腸肛門病専門のくるめ病院の2つの市中病院との提携です。女性医師を積極的に派遣し、専門医を取得するのに必要な手術経験件数などを短期間で達成できるようにしました。
同時に派遣した女性医師が産休や育休が必要になった場合には、大学から代替の医師を必ず派遣することを約束。両病院とも奨励が豊富で経験を多く積めるため、派遣される医師も不満を持たずに女性医師の欠員を埋めているとのこと。さらに、スムーズな現場復帰と人手不足の解消のためにも、出産直前・直後でも希望すれば、週1回から勤務できるように両病院に依頼しました。
山下氏は女性医師のニーズの把握にも力を注いでいます。医局員を対象に年1回、進路希望や悩みなどを尋ねるアンケート実施し、それを基に各医師と面談。消化器外科に入局したものの、進路に迷っている女性がいれば相談にのり、大腸肛門科の将来性を積極的に説明し、キャリアパスの選択肢として説明するようにしています。