自己負担金の徴収が滞り、病院の経営悪化の一因に

長引く不況で景気回復の兆しが見えない経済状況、医療費自己負担率の引き上げ、一部の患者に見られるモラルハザードなどの結果、近年は病院窓口で患者が支払うべき自己負担金の未払いが増加しはじめ、病院の経営を揺るがしかねない状況になっています。いわゆる「未回収問題」です。

厚生労働省が病院団体協議会が共同で調査を行ったところ、長期間の負担が必要となる入院患者では支払い能力を超えているケースが少なからずあり、未回収金の発生率は全国平均で3%、外来患者では1%未満という数字が判明しました。調査対象となった3058の医療機関における年間の未回収金総額は220億円と、到底無視できない金額となっています。

医療機関は診療報酬の引き下げによって、医療機関は只でさえ経営が苦しい中、この未回収金の問題はダブルパンチとなっており、事態を重く見た各医療機関は従来の文章や電話による細則に加えて、債権回収の専門業者を使って集金を行うようになりました。

政府も黙っているわけではありません。厚生労働省が設置した「医療機関の未集金に関する検討会」は、未回収金の発生原因を「生活困窮型」と「悪質滞納型」に分類し、それぞれに対応するための基本方針を打ち出しました。

経済的事情によるやむを得ない「生活困窮型」に対しては、負担金の一部減免制度、無料定額診療事業などの既存の救済措置を活用できるように、十分な情報提供を行ったり、医療ソーシャルワーカーによる窓口相談を設ける体制を整備すべきとされました。

一方、「悪質滞納型」については、処分も含めた毅然たる態度で臨むべきとしています。しかしながら、いずれのケースにしても、事後に未回収金の徴収を行うことは人件費の面からも困難だと考えられています。

したがって、今後は不払い時の念書や患者本人、家族の連絡先などの確実な把握等の「未然防止策」をいかに充実させるかということが医療機関の最優先課題となるでしょう。

例えば、未回収金問題に悩まされていた東京都立病院は独自のマニュアルを作成して、徴収強化を図っています。その内容を見ると、「未回収金発生の予防策」として、高額療養費現物給付制度や高額医療費貸付制度の活用、クレジットカード決済の導入などが掲げられています。